国会図書館よ、お前もか ~法務省が米兵犯罪の資料を閲覧禁止に~
UPDATE 2008/8/23 ジャーナリストの斎藤貴男氏が東京地裁に訴訟を起こしました。
- 米兵事件資料の非公開 取り消し求め提訴へ (朝日)(魚拓) (JanJanニュース)
- 米軍特権資料 法務省、「圧力」認める (赤旗)(魚拓)※表紙の写真有
これで主権国家と言えるのだろうか。法務省が国会図書館にあった「米兵による犯罪の裁判権放棄」の法務省通達に関する蔵書を、閲覧禁止にしました。
- 米兵事件資料を一転非公開 法務省要請受け国会図書館 (47ニュース) (魚拓)
- 国会図書館の法務省資料 政府圧力で閲覧禁止 (赤旗) (魚拓)
- 米兵事件処理の文書非開示 市民団体「国の犯罪」と批判 (琉球新報) (魚拓)
- 米兵事件処理の公文書非公開に 国会図書館、法務省要請で (中日) (魚拓)
- 法務省刑事局問答要旨 法務省刑事局の内部資料 (共同) (魚拓)
ネットで見る限りでは今のところ報道したのは共同、琉球新報、赤旗、中日新聞あたりで、産経と読売は見事にスルーしてます。また今日の早朝、共同通信の配信がかなりの数の新聞に流れましたが今はGoogleニュースからは消えています。
赤旗から少し引用します。
利用禁止になったのは、1972年3月に法務省刑事局が作成した「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」です。今年五月下旬、国会図書館に政府から、「(同資料を)非公開とする旨の発行者の公的な決定」が通知されました。同図書館は六月五日に関係部局長で構成され る委員会で対応を協議し、「現時点では発行者の公的な決定と異なる判断を下す理由を見いだせなかった」として、同月二十三日に閲覧禁止を決定。同図書館の インターネット資料検索システム(NDL―OPAC)からも削除しました。(引用終わり)
前回の報道
「裁判権放棄の通達」の存在については、約1週間前に一部新聞で報道されています。
法務省が裁判権放棄指示 1953年 在日米軍起訴は重要事件のみ(東京新聞 2008年8月4日)(魚拓)
| 日本に駐留する米兵の事件をめぐり、1953年に法務省刑事局が「実質的に重要と認められる事件のみ裁判権を行使する」との通達を全国の地検など関係当局に送付、事実上、裁判権を放棄するよう指示していたことが、同省などが作成した複数の内部資料で分かった。法務省は地検に「慎重な配慮」を要請し、事件の処分を決める際は批判を受ける恐れのある裁判権不行使ではなく、起訴猶予とするよう命じていたことも判明。 地検の問い合わせには日米地位協定に基づき、日本が第1次裁判権を行使できない「公務中の事件」の定義を広く解釈するよう回答していた。
日本側の裁判権放棄については日米両政府による53年の秘密合意が明らかになっているが、合意を受けた具体的対応が分かったのは初。現在も米兵の交通事故など多くの事件が起訴されておらず、通達の効力は維持されているとみられる。 内部資料は、法務省刑事局と警察庁刑事局が54年から72年にかけて作成した「外国軍隊等に対する刑事裁判権関係」などの実務資料。日米関係研究者の新原昭治氏や共同通信が入手した。 資料によると、53年10月7日、法務省刑事局長が全国の地検検事正に出した通達は、米兵の事件処理について「軍隊の地位や国際先例にかんがみ特に慎重な 考慮が必要」と強調。具体的には重要な案件以外、起訴猶予などとすることで裁判権の不行使を指示。「同様の態度を今後とも維持するべきだ」としている。 法務省は地検の問い合わせに対して、事件を起こした米兵が公務中だったことを証明する米軍側の書類について、職務内容などの詳細は不要で「公務中」との記載だけで十分とも回答していた。 【法務省通達の骨子】
◆放棄の実態解明を ■ 我部政明琉球大教授(国際政治)の話 日米間の刑事裁判権は、表面上は対等な形をとりながらも、日本が可能な限り米兵を起訴しないことで実態は米側に有利 となっている。起訴の権限を検察が独占する日本の司法制度の上に、米兵の犯罪を日本が裁かない管理装置が出来上がった。起訴前の米兵の身柄引き渡しが重視 されてきたが、直視すべきは本来行使できる裁判権を放棄した実態を明らかにすることだ。 |
参考
- 米兵による沖縄での女性への犯罪 サイト1 サイト2
- 日米地位協定上の第一次裁判権に絡む公務に関する質問主意書 腰抜け政府は門前払い!
雑感
この国はいつになったら地位協定の見直しが出来るのでしょうか。イラクもアメリカと地位協定で揉めていましたが、結局、アメリカが譲歩しました。日本は先日、イラクからの空自の撤退を決定しました。延長に必要な「日本とイラクの地位協定」の話が必ず国会で出てきますから、そのときに国民に色々と知られるのが嫌なんでしょう。
空自派遣は違憲との、いわゆる「蛇足判決」が出た時、福田総理は記者会見で「え? 政府は裁判に勝ったんですよ?」とだけ答えてトボけてましたが、これも結構効いてるんでしょうね。さんざん国民を煽ってきたキーワード「国益・国際貢献」より、支持率の方が重要と言うわけです。
日本はまだアメリカの占領下(良く言えば「保護国」)であり日本政府はアメリカの傀儡政権であることをまず国民が認識しなければ、自立国家日本への道は開けないと再認識させられます。このニュース自体は腹立たしい限りですが、竹島や北朝鮮問題で、米国に「日米同盟はもう要らん」と言われたに等しい日本にとっては、良いタイミングだったかもしれません。
この事件により国会図書館に興味を持つ人が増え、オンラインで検索できる国会用リファレンス等の資料を活用し、政治に興味を持つ人が増えたとすれば、閲覧禁止は逆効果だったことになります。
以下の文章は、国会図書館月報(PDF)からの抜粋。
| 旧帝国図書館では閲覧禁止になっていた資料も含まれています。現在では考えられないことかもしれませんが、江戸川乱歩の『乱歩傑作選集』の第1巻から第11巻、モーパッサンの『女の戯れ』も風俗本として閲覧禁止になっていました。この『女の戯れ』の原題は“Notre Coeur”(日本語訳は「我らの心」)です。当館には、閲覧禁止となった『女の戯れ』と訳された単行本1冊のほかに、『我等の心』『吾等の心』などと訳されたものが数点あります。 このように、カードや冊子体目録でも探し出せなかった過去の貴重な資料が、書誌データが整備されたことによりNDL-OPACで新たに利用できるようになりました。(資料提供部図書課) |